2024.09.07立憲民主党代表選 候補者共同記者会見 枝野幸男・所信表明
1. 日本の分岐点と二つの危機
枝野幸男でございます。
まず、この3年間、先頭に立って奮闘してきた泉代表に、大きな敬意と感謝を申し上げます。また、野田元総理、吉田はるみ議員も含めて、自民党を凌駕する議論を戦わせ、立憲民主党を新しい国民政党へとさらに発展させる代表選挙にしてまいる決意です。
日本は今、大きな分岐点に立っています。アベノミクスが限界を迎え、経済の危機に直面しています。自民党の裏金事件で、かつてないほど高まった政治不信による政治の危機です。
今こそ立憲民主党が、明確な政治改革の道筋、そして日本経済や日本社会のビジョンを示し、国民の期待に応えていかなければなりません。
今回の立候補については、私自身、ためらいもありました。しかし、この危機に直面し、高みの見物を決め込むようでは、日本の未来を変えることなどできない。そう自分に檄を飛ばし、決意をいたしました。
誰が選ばれても、立憲民主党が大きく飛躍する代表選挙にしたいと考えています。
2. 政権交代のための二つの条件
立憲民主党は、2020年、野党の離合集散という歴史を終わらせ、国民に信頼される政権の選択肢となるため、結党されました。2012年の下野からの歩みは、私にとっても悪戦苦闘の連続でした。いわゆる希望の党騒動では、今、立憲民主党に集っている仲間たちも、それぞれの立場で大変な苦境に立たされました。
痛感したのは、政治を変えることができるのは、国民の皆さんとつながる政治家だけだ、ということです。今度こそ、国民とともに進み、国民のための政治を実現する。その想いは、党全体で共有されていると確信します。
経験不足ゆえに期待に応えきれなかった民主党政権。その後の離合集散。その反省と教訓を踏まえれば、今度こそ本格的に政権を維持運営し、新しい時代を切り拓く。それが私たちの責任です。
そのために、立憲民主党は、政権運営の指針となる目指すべき明確なビジョンを示さなければなりません。そして、国民の皆さんとつながり、ともに歩む、国民政党として、自分たち自身の地力をつちかうことが求められます。
3. 「人間中心の経済」こそアベノミクス後のビジョン
目指すべきビジョンとして、私は「ヒューマンエコノミクス 人間中心の経済」を掲げました。
多様な個人一人ひとりが、最大限に力を発揮できる環境をいかにつくれるか。日本の可能性は、その一点にかかっています。教育も、研究開発なども、そして高齢化や少子化など、社会課題への対応も、徹底的に「人」に中心に置き、「人」に投資をする。それが、アベノミクスの総括をできない自民党とは明確に違う、「人間中心の経済」です。
その道筋を掲げながら、足元では、物価高に苦しむ家計への支援、中小企業への柔軟で機動的な支援などの緊急対策を、効果的に打ち出してまいります。
4. 政党間連携について・政権党としての地力
国民政党として地力をつちかうために、立憲民主党がなすべきは、右とか左とかいう古い議論でも、永田町の合従連衡でもありません。政治に不信感を持っている皆さん━自民党を含めてこれまで他党を支持してきた方々を含めて、多くの皆さんに共感していただける理念を、地域から、草の根から、地道に訴えながら、国民とともに歩むことです。
立憲民主党にその覚悟があってこそ、「一強多弱」と呼ばれる構造を打破し、「国民政党」として政権交代を実現することができる。そう確信しています。
5. 新たな時代の国民政党へ
政治家が国民に負担増を押し付けながら、巨額の裏金をつくり、まともに説明もせずに逃げ回る。国民が怒り、呆れるのは当たり前です。表紙を変えて刷新「感」を出しても、裏金議員への厳しいけじめや全貌解明すらなしに、真の刷新は不可能です。
立憲民主党こそが、本気の政治改革を主導します。
国民の政治不信に真正面から向き合い、「国民政党」へと進化するためにも、3つの課題に挑戦します。
一つは、現在党として掲げている、政治腐敗を一掃する改革を、最優先で進めます。
第二に、国民の半分を占めるにも関わらず、これまで古い政治に阻まれていた女性たちの声を正しく反映し、その力を最大限に引き出すため、ジェンダー平等推進の取り組みを継続・強化します。
そして第三に、国民政党に相応しい、全国津々浦々の声を受け止めるため、地方政治の改革と、地方組織の基盤強化を進めます。
6. 立候補にかける想い
政治不信を克服し、新たな政権の選択肢をつくる。
それが、新代表の唯一にして最大の使命です。
仲間とともに、国民の皆さんのために、国民の皆さんとともに歩む国民政党をつくる。私はその先頭に立つ覚悟です。
国民の皆さん、新しい時代を創るために、ともに立ち上がりましょう。よろしくお願いいたします。